紅葉の時期ということなんですが、東福寺とか永観堂だと人が多すぎるので、どこにしようか考えていました。
そこで、思いついたのが「千年の古寺」という本に掲載されていた「神護寺」です。この本は由緒ある古いお寺を紹介する本なのですが、その中に、弘法大師空海が一時期本拠地としたことに加え、伝教大使最澄も同時期に活動し、交流をもった寺とうことで「神護寺」が紹介されています。
さらにこの神護寺は古くからの紅葉の名所「高尾山」にあるんですね。神護寺自体も紅葉の名所であるようで今年の紅葉見物はここにすることにしました。
●どのような場所にあるの?
高尾山の中腹にあるお寺のためまわりは大自然に覆われた山となります。それだけに空気がきれいで、神聖な雰囲気が感じられる場所です。
山の中なのでアクセスは公共交通機関では市営バス(8系統)のみとなります。最寄りのバス停「山城高雄」近くから山道に入り神護寺まで20分程度歩くことになります。
この日も紅葉を楽しみながら歩きました。ちょっとしたハイキングを楽しむことができる場所ですね。
★駐車場は?
神護寺の駐車場は無いですが、バス停近くに民営の駐車場がいくつかあります。ただ、いづれも小さい駐車場なので紅葉シーズンの休日にあたるとなかなか空いてないかもしれません。
この日は平日で駐車できましたが、空きは少ない状態でした。
●表参道~楼門
車道から山道を降りていき、清滝川を渡ったところから神護寺の参道が始まります。
参道は長い石段で構成されていて、ひたすら登っていきます。けっこうしんどいので、途中に茶屋もあるので休みながらでもいいでしょうね。
長い石段を登っていくと神護寺の楼門が見えてきます。
★楼門
両脇に二天を安置する神護寺の山門です。1623年の再建。
●金堂
神護寺の本堂にあたります。昭和10年に新築されたものですが、昭和の名作と呼ばれる立派な建物です。もっと古い時代のものと言われてもわからない感じです。
神護寺の中では内部拝観可能な数少ない場所のひとつで、国宝である本尊・薬師如来立像が祀られています。
この場所は高台になっており、他の伽藍が一望できるスポットになっていて、特に紅葉時期には一見の価値ありです。
★木造・薬師如来立像
平安時代前期を代表する仏像で他の仏像とは異なるデフォルメされた不思議な姿をしています。修験道的な妙な力強さを感じさせますね。もともとは神護寺の前身のひとつで、河内にあった神願寺の仏像であったようです。
国宝指定されており、季節問わず神護寺でのみどころになります。堂内内陣中央に厨子に入って安置されています。
外陣から拝観になるので、仏像までは距離があり細部が見づらいんですが、全体的に写真で見るより白っぽい感じです。よく見られる写真では下のように茶色っぽい印象ですね。
★源頼朝像
日本史の教科書でおなじみの源頼朝の肖像画です。実は神護寺が所有しており、京都国立博物館に預けられているのですが、金堂では精密複製画の頼朝像を見ることができます。
複製画は他の寺院では写真OKなところも多いのですが、頼朝像は写真NGの金堂内にあるので、撮影できません。
頼朝像は5月1日~5日の間のみ虫払い行事があり、神護寺に戻ってきます。その間は本物が公開になるようです。
●多宝塔
国宝の五大虚空菩薩像が安置されています。普段は非公開ですが、特別公開時には拝観可能です。この虚空菩薩像は、空海の弟子「真済」が作った傑作とされています。
11月20日までが公開日だったので、この日は非公開。惜しかったです。
多宝塔は金堂と同様、昭和に新築された建物となっています。
金堂横の階段を登っていった先の高台にありますが、木々が生い茂っており、眺めはあまりよくありません。多宝塔は美しいので、建物そのものを楽しむのがいいでしょうね。
●他の伽藍
金堂や多宝塔以外にもみどころとなるお堂があります。いずれも江戸時代の再建ですが、内部非公開となっています。
★鐘楼
1623年の再建。二階建ての建物の上に国宝の梵鐘がありますが、非公開になっています。
★明王堂
もともとは弘法大師作の不動明王像が祀られていましたが、940年の平将門の乱平定祈願の出開帳でそのまま戻らず、その場所にこの不動明王を本尊とし成田山新勝寺が創建されました。
現在では平安時代後期作の不動明王像が安置されています。 非公開。
★五大堂
1623年の再建。
★毘沙門堂
1623年の再建。金堂が建つ前にはこの毘沙門堂が本堂であったようで、本尊・薬師如来立像もそれまでここにありました。
現在は非公開ですが、平安時代の毘沙門天像を安置しています。
★大師堂
空海が神護寺の前身「高雄山寺」に拠点を置いていた時に住んでいた「納涼房」を復興させた仏堂です。現在の建物は桃山時代の再建。
内部には板彫弘法大師像が安置されています。堂内は非公開ですが、11月5日~15日のみ公開されます。
●かわらけ投げ
かわらけ投げとは、高い場所から素焼きや日干しの皿などを投げる遊びで、厄除けや願掛けの意味があります。
全国の高台にある花見の名所などで酒席の座興で行われたりして広がり、現在でも比叡山など観光地などでできますが、発祥はこの神護寺だと言われています。
神護寺では、かわらけ投げは地蔵堂の傍にある、綿雲渓ででき、近くの売店で素焼きの皿を2枚100円で購入できます。
壮大な渓谷から皿を投げるのは爽快ですね。フリスビーのように投げるとよく飛びますよ。