ピラミッドといえば、エジプトにあるものが有名ですね。実はピラミッド型の古代建築物は世界中にあることが現在では広く知られています。
しかし、日本にピラミッドがあるのはあまり知られていませんが、実は日本にもあるんですよ。
それが・・・頭塔です。
頭塔は石を積んで作られた7段の段差をもつピラミッド型の建築物です。奇数段には石仏が配置されています。
奈良時代の僧で興福寺創建にかかわった「玄昉」の首を埋めたという伝説があり、頭塔と呼ぶようになったと言われていましたが、古文書に東大寺の僧「実忠」が767年に土塔を築いたと記録があり、頭塔はその土塔だと現在では考えられおり、同様の例のない遺跡となっています。
役割は寺院の五重塔などと同様に仏舎利を収める仏塔の役目をしていたということです。
●古代の石仏
頭塔の奇数段には石仏が配置されているとさきほど書きましたが、現在発見されているのは28体です。そのうち、浮彫や線彫で姿が確認できるのが25体となっています。
これらの石仏は数少ない奈良時代のもので大変貴重なもので、22体が重要文化財指定されています。
創建当初より各石仏には瓦葺屋根が取り付けられていたことがわかっており、新しい屋根で再現されています。
ちなみに頭塔の頂上部には五輪塔が置かれていますが、それは後から江戸時代に置いたようです。
●未発掘部分
頭塔が発掘整備されてるのは北側のみで、南側は未発掘の山のまま現状保存されています。ガイドさんは「こういうのもいいでしょう」と言っていました。
ところどころに剝き出しの石仏が確認できそれらを発見してまわるのも楽しいものです。
●特別公開
普段は入口には施錠されており、自由に入ることはできません。隣接のホテル「ウェルネス飛鳥路」まで見学を申し出なければいけませんが、10月22日~11月7日の正倉院展期間に限って申し出なしで公開しています。
時間は申し出時と同様に午前9時から午後5時となっています。入場料は大人一人300円となっていて、入場時にクリアファイルをいただけました。普段は手に入らないのでなかなか貴重なものですね。
中にはガイドさんが数名おり、遺跡を解説したりしていましたが、アンケートで「どこから来たか」を来場者に聞いていました。正倉院展のついでに来る人も多いようでちょっと聞いている限り、遠方からも来られているようです。
●どのように拝観するの?
頭塔のまわりに歩きやすいよう通路が作られており、周囲を回って見学します。南側の現状維持で山になっている部分も見ることができ、発掘前の頭塔がどのような状態だったかもみることができます。
残念ながら頭塔に登ったりすることはできず、上段の石仏は双眼鏡などで確認しないとよくわかりません。
●場所は?
奈良市高畑町にあるホテル「ウェルネス飛鳥路」隣の路地から入っていきます。
周囲は住宅地で、路地を入っていったところにあるので普通に歩いていると、わかりにくいです。ホテルを目指してまずは歩くといいでしょう。
交通機関は奈良交通バスの破石町バス停からすぐですが、東大寺の真南にあたるので観光しながら歩けないこともないでしょう。
車で来た場合は、頭塔から徒歩5分の県営高畑観光駐車場がパンフレットでは案内されていますが、現地では遺跡の北側に大きな駐車場があることが案内されていました。
私は近くのタイムズで停めました。見学時間も30分程度で十分回れるのでタイムズでもよかったと思います。
この頭塔、実は裏口のようなものもあるのですが、そちらは公開時期でも施錠されており、入ることはできません。間違えないように注意が必要です。