即宗院は東福寺の塔頭ですが、普段は非公開となっています。今年の2月に「京都冬の旅」の企画にて特別公開されており、東福寺へ参拝した際に拝観させていただきました。
●即宗院とは?
1387年に剛中玄久(ごうちゅうげんじゅう)和尚を開基として創建されました。1569年に焼失しましたが、薩摩藩主「島津義久」によって再興され以後は島津家の畿内での菩提寺となりました。
創建当時の所在地は現在の場所ではなく、現在の即宗院は平安時代の貴族「藤原忠道」の山荘「月輪殿」跡地に建っています。
薩摩藩と関係の深いお寺だけに他の京都の寺とは異なり、寺宝に薩摩関係の物が多いのが特徴です。薩摩との関係からか天璋院篤姫も立ち寄ったことがあるとか。
幕末には西郷隆盛と清水寺の勤王僧「月照」が討幕の密談を行い鳥羽伏見の戦いでは薩摩軍の駐屯所になった場所でもあります。
現在は東福寺の塔頭の一つとなっており、境内にあるえん月橋を渡った先にある龍吟庵の隣にあります。
通常は非公開ですが、11月~12月の紅葉の時期に公開され、それ以外でも今回のように企画で公開されることがあります。
●山門
即宗院の門です。現在の山門は島津家の再建時の物。この付近に特別拝観の受付があり、600円を支払うと境内へ入ることができます。この拝観料はあくまでも「京都冬の旅」の料金設定であり、他の企画で行く場合はまた違うのかもしれません。
ちなみに即宗院には御朱印もあり、手書きは無いのですが、受付にて書置きしたものをいただくことができます。
★石造・仁王像
山門の左右に安置されている仁王像です。石造であり、京都の山門仁王像としては珍しいものです。石造の仁王は鹿児島ではよく見られるもので、薩摩から持ってきたものと言われています
●本堂
本堂へ入ると、ガイドさんがいて堂内の寺宝を説明してくれます。内部は撮影不可。
堂内では、本尊の宝冠釈迦如来坐像や開山の剛中玄久和尚像が見られるほか、島津家より奉納された重箱や火鉢が公開されています。島津家からの奉納品には、十字の家紋が入っており、これは普通は島津藩主しか使えないもので藩から出すというのはめったにないことのようです。
ここには焼失した京都大仏の蓮華座の一部も公開されており、京都大仏の説明も受けることができました。京都大仏は左手も現存しており、東福寺法堂にあるそうです。京都大仏はその存在をうっすらとは知っていましたが、本当に一部現存していたんですね。
●庭園
即宗院の庭園です。月輪殿の庭園が残ったもので、室町時代の庭園としては稀な公家寝殿造系です。江戸時代には名勝として有名だったといいます。
現在でも一部、月輪殿時代の平安時代の石積みが残っており保存されています。
ここは本堂から見ることができ、撮影も可能です。