石山寺のみどころ ~33年に一度、本尊・如意輪観音菩薩ご開扉~

石山寺は滋賀県の琵琶湖の南にある古寺で、日本最古の多宝塔や清水寺と同じ舞台造りの本堂で有名ですが、本尊・如意輪観音像も有名で石山寺の紹介では必ず登場します。

この如意輪観音像なんですが、普段は秘仏なので見ることができません。巨大な厨子というより専用の部屋があり、扉は常に閉じられています。かわりに本尊を写して作られたお前立が前におかれ、いつも見るのはこのお前立となっています。

その如意輪観音像は33年に一回だけ御開扉があるのですが、今年がその年に当たってるというのを滋賀に出かけた際にパンフレットで知りました。

2016年3月18日~12月4日と期間はあるのですが、あまり悠長に構えてると1年はあっという間です。5月29日にさっそく石山寺に行ってきました。

●石山寺とは?

石山寺は747年に聖武天皇の命により東大寺別当の良弁僧正により聖徳太子が持っていた如意輪観音像を祀ったのが始まりとされています。

当時、東大寺大仏建立が行われていたが、表面に塗る大量の金が無く、別当の良弁は聖武天皇より調達を依頼されていた。

良弁は霊夢によって観音菩薩が現れた地である石山の地を訪れ、天皇より渡された聖徳太子の念持仏である6寸の「如意輪観音菩薩像」を巨大な岩の上へ安置し、草庵を建て祈った。こうして2年後に陸奥の国から黄金が産出したが、如意輪観音像は岩から離れなくなり、ここに観音を覆うようにお堂を建てることになったというのが「石山寺縁起絵巻」に描かれている創建話です。

その後は正倉院文書によると、国家事業として石山寺の造営が進められ、聖徳太子の観音像は新しい本尊「塑像・如意輪観音菩薩」に埋め込む形で作られました。

この如意輪観音像は5m近いの丈六仏であったそうで、脇侍の金剛蔵王像と執金剛神像とともに762年に完成。

1078年に本堂が火災により焼失。その時に塑像の本尊と脇侍も大きく損傷しましたが、1096年に再建され同時期に現存の本尊が新しく作られました。

本堂は縁起通り、巨大な岩盤の上に建っており、これが石山寺という名前のもとになっています。平安時代には特に貴族女性の信仰を集め、特に源氏物語の作者である紫式部はここで源氏物語を執筆したとされています。

宗派ですが、当初は東大寺と同じ華厳宗でしたが、平安時代には真言宗のお寺となっていました。

●拝観料は?

通常は入山料600円ですが、本堂内々陣へ進んで御本尊を拝観する場合ににはさらに500円。同時開催の紫式部展を閲覧する場合には300円追加になります。

入山料だけで境内へ入り、それぞれ現地で特別拝観料を支払うことも可能ですが、共通券もあり、価格は1200円です。通常の入山券と同様に東大門の受付で購入できます。

ちなみに入山料ですが、京阪大津線1日フリーパスなどで割引が受けれるので、電車で来た人は手段を考えてみては?

●御本尊特別拝観

Ishiyama-dera/Hondo1

本堂の奥に受付が設置されており、そこで特別拝観料を支払います。共通券の場合は券の一部を渡すだけです。

支払いが終わったら、順路をたどって進みます。本堂は土間なので土足で入れるのですが、受付がある内陣からは板の間になっておりスリッパを借りて進みます。靴は靴袋をもらって手持ちにします。

今回は初の内々陣公開なので、お前立を超えてさらにずっと奥まで進んでいきます。

すぐに本尊「如意輪観音像」の前に出てきます。普段は空いていない扉がしっかり開いております。御本尊の姿は写真でも結構紹介されてますが、この像はお前立よりもごつく見え、重量感たっぷりで貫録を感じますね。

岩盤に座ってると聞いていましたが、薄い蓮華座ごしではありますが、本当に岩盤に座っています。扉の中はまるでちょっとした岩場の箱庭みたいになっています。本当に岩盤から離れなくなった御本尊の周りに本堂を建てたように思えますね。脇侍も岩盤に立っています。

ちなみに本堂の内陣は板の間なのですが、御本尊の前の内々陣は外陣と同様に土間になっています。ただ、敷物がしてありスリッパのままでOKです。

★本尊「木造・如意輪観音菩薩半跏像」

Ishiyama-dera/Nyoirinkannon

奈良時代の石山寺創建時は5mの塑像(粘土像)だったのですが、火災で損傷し一部分しか現存していません。この像は平安時代末期に作られた1078年の再建像です。

塑像ではなく、木造として作られました。平安時代後期から登場した寄木造りの技法で製作されています。作風も平安時代らしく穏やかなものとなっています。天皇の命令で封印されました。これを勅封といい、現存の仏像で勅封となっているのはこの仏像のみとなっています。

秘仏とされていますが、33年に一度のみ扉が開かれ公開されます。御開扉は石山寺にとって重大なイベントであり、「開扉記」という記録を作って今後の御開扉のマニュアルとして残されています。

近年は33年に一度の定期開扉以外でも開扉をおこなっていますが、それでも数年に一回になりレアなことであることには変わりません。

縁起通り、岩盤に薄い蓮華座をはさんで半跏(足を片方おろした状態)で座しています。

★4体の小金銅仏

Ishiyama-dera/Kondobutu

内々陣の本尊の裏手にあたる場所では、四体の金銅仏や旧脇侍塑像仏の木芯が初公開されています。

金銅仏は1体が飛鳥時代の如来像(写真右),2体が白鳳時代の菩薩像(左端,左から2番目),1体が奈良時代の観音像(左から2番目)です。すべて30cm以下の小金銅仏。すべて元々は創建時の本尊の胎内仏(体の中に収納されていた仏)だったようです。

ということは、創建の縁起では聖徳太子の念持仏が含まれているはずなのですが、この中にあるのでしょうか?

飛鳥時代や白鳳時代の仏像は数は少なく、法隆寺関連の物を除いては数多くはありません。今回は珍しい飛鳥仏を見る機会ですもあります。

塑像・金剛蔵王の木芯ですが、人型に木が組まれています。塑像自体は東大寺や法隆寺で見かけますが、内部構造は見ることはできず、今回構造を見ることができ興味深いものがあります。

●「石山寺と紫式部」展

Ishiyama-dera/Houjyoden

御開扉と同時に実施されているイベントがこの紫式部展です。豊浄殿にて開催。

これは紫式部が石山寺でこもり源氏物語を書いたことにちなんで企画されました。料金は300円です。共通券がある場合は、券の一部の一部で入館します。

源氏物語の写本など源氏物語関連のものをメインに旧本尊のお前立や御開扉記など記録も公開されています。

●重要文化財の梵鐘がつける

Ishiyama-dera/Syoro

石山寺にも梵鐘があり、鎌倉時代後期のものとされています。伝承では、源頼朝の寄進ともいわれています。

梵鐘は平安時代のもので、ともに重要文化財指定されています。珍しい引き鐘形式の梵鐘です。

普段の鐘楼は閉鎖されており、除夜の鐘の際にしか一般の参拝客にはつけませんが、今回の御開扉に合わせて300円(特別拝観料とは別)でつくことが可能になっています。

つく際に願い事をひとつだけ祈れば扉が開いてる御本尊に直接届くそうです。

●石山寺の見どころ

さて、ここまでは特別拝観にかかわることを書いてきましたが、ここからは、石山寺の他のみどころについて書いていこうと思います。

★東大門

Ishiyama-dera/Higashidaimon

石山寺の正門で、総門とか山門とも呼ばれます。

門の両端には源頼朝の寄進といわれる、仁王像が安置されています。

★くぐり岩

Ishiyama-dera/Kuguriiwa

受付を通ってすぐにある大理石の天然トンネル。天然トンネルのため、体をかなりかがめてしか通れず、胎内くぐりのような気分を味わえます。

トンネルの前に池があり、これは奈良時代に作られたものです。

★珪灰石

Ishiyama-dera/Keibaiseki

珪灰石は石灰石がマグマと接触し、変質してできた岩石です。そうしてできるのは大理石が多いそうですが、珪灰石になるのは珍しいようです。

本堂はこの珪灰石の岩盤の上に建っており、これが石山寺の名前のもとになっています。本堂が岩盤に建つだけでなく、境内には岩盤が露出したところが多くみられ、まさに石山という感じですね。

★多宝塔

Ishiyama-dera/Tahoto

1194年建立で日本最古の多宝塔。内部には快慶作の大日如来像が安置されています。しかし、かなり暗いのでよく見えないのが残念なところです。

★月見亭

Ishiyama-dera/Tukimi-tei

近江八景「石山の秋月」を眺めた場所だと言われています。明治~昭和の各天皇や皇室の人々が景観を眺められていたそうです。1156年~58年の創建で、何度も修繕が行われ、現在の建物は1687年の再建。

現在、月見亭は立ち入り禁止で景観を眺めることはできませんでした。

★本堂

Ishiyama-dera/Hondo

正堂,合の間,礼堂からなる複合建築です。岩盤の上に建っており、石山寺の名前の由来になっています。内々陣には秘仏の本尊・如意輪観音菩薩像が巨大な厨子に入って安置されています。本尊は秘仏ですが、内陣に本尊を写したお前立が安置されています。

合の間には「紫式部源氏の間」というのが作られてあり、紫式部の像が置かれています。

傾斜地に建っており、観音霊場には多い清水寺と同様の舞台造り(懸け造り)となっています。ただ、正面からだとわかりくいので側面か背面へ周ったほうがわかりやすいです。

正堂は創建は奈良時代ですが、焼失し現在の建物は1096年再建のもので、滋賀県最古の建物となっています。あとから作られた合の間と礼堂は1602年に淀君が建立したものです。

■如意輪観音菩薩像(お前立)

Ishiyama-dera/omaedachi

本尊・如意輪観音を写した仏像です。本尊は秘仏ですが、このお前立を通して姿を拝めます。礼堂と同時期に淀殿の寄進で作られました。

石山寺にはこのお前立像とは別に今は一部しか残っていない旧本尊のお前立も残されています。

■御朱印

御朱印は本堂内外陣で頂けます。観音堂近くに御朱印をもらえそうなところがあるのですが、ここは職員不在で、御朱印は本堂でもらうように書き出しがありました。

●おわりに

石山寺での秘仏「如意輪観音半跏像」はすばらしいものでした。やはり秘仏を鑑賞するというのはいいですね。石山寺自体も岩盤に建ってるというだけあってあちらこちらに奇石が露出し楽しい場所でした。

ただ、基本的に山寺でのぼりが多いので体力がない人には少し厳しいかもしれません。逆にいい運動になるのでハイキングがてらにはいいかもしれませんね。

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