東寺のみどころ③ 立体曼陀羅~全21体網羅 平安密教仏の魅力~

立体曼陀羅

東寺といえば五重塔と並んで有名なのが「立体曼陀羅」です。立体曼陀羅というのは通常は平面で描かれる曼荼羅を仏像を使用して立体で表現するというものです。

その目的は弘法大師空海の真言密教思想を可視化することであったとされています。

その表現方法は、如来像5体(五智如来),菩薩像5体,明王像5体,天部2体,四天王像4体の計21体によって表され、仏像好きにとっては外せない場所ではないでしょうか。

立体曼陀羅各像の配置は弘法大師の案であり、他に例を見ない配置となっているそうです。立体曼陀羅各像の開眼は839年とみられていますが、1486年の土一揆で焼失し、15体が当初像として残っている状態です。他の7体は室町時代や江戸時代の再興像となっています。

当初像15体の特徴としてヒノキ材使用の一木造りとなっています。平安前期らしい一木造りなのですが、さらに多聞天と帝釈天以外は表面に乾漆造の技法が使われており、像内には木心が組み込まれるなど木心乾漆造の発展型となっています。奈良時代の仏像技術がここで引き継がれているのんですね。

この立体曼陀羅は東寺有料エリア内の講堂にて見ることができます。有料エリアへの入場は通常大人500円です。

東寺・講堂

●配置

立体曼陀羅配置図

中央に真言密教の最高位である大日如来が鎮座しその四方に4体の如来を配置。東の端に金剛波羅密を中心とした菩薩の世界を形成し、西側に不動明王を中心とした明王の世界を形成、西と東の端に天部を配置し立体曼陀羅を形成しています。

21体も仏像がありますが、正面と東西の端からのみからしか見れず、重なり合ってる仏像も多いので、ちゃんと見ようと思ったら意識して角度を変えながら見ないといけません。ある程度予備知識を持ってみた方が楽しめるかもしれませんね。

●如来部(五智如来)

如来部は立体曼陀羅の中枢であり、全体の中央に位置。

講堂の本尊となる大日如来を中心に北東に阿閦如来,北西に不空成就如来,南東に宝生如来,南西に阿弥陀如来が配置されています。

この5体の如来は五仏や五智如来などと呼ばれています。

★大日如来

大日如来は密教が日本に伝わってから作り始められた仏であり、比較的新しく入ってきた如来です。

立体曼陀羅の如来部は土一揆で全て焼失しましたが、いちはやく再興されたのが本尊である大日如来像です。1497年に運慶の子孫を自称する康珍が制作しました。

2m85cmの大型の仏像で寄木造りの漆箔仕上げ。眼には玉眼が使用されています。室町時代を代表する仏像となっており重要文化財指定になっています。

光背には多数の化仏が配置されています。化仏の中には当初像のものもあるそうです。

東寺・大日如来

★四如来

他の4如来は1m30cm~40cmの仏像で大日如来に比べ再興が遅れ江戸時代に制作されました。全て重要文化財。

当時像は無いのですが、阿弥陀如来像だけは頭部が平安時代の定朝様になっており、身体だけ江戸時代に補われたもののようです。

四如来共通である光背部分のうぶ巻き模様は江戸時代の仏像によくみられるデザインです。

★阿閦如来

東寺・阿閦如来

1m44cm。大日如来の北東に位置。

★不空成就如来

不空成就如来

1m33cm。大日如来の北西に位置。

★宝生如来

東寺・宝生如来

1m43cm。大日如来の南東に配置。

★阿弥陀如来

東寺・阿弥陀如来

大日如来の南西に配置。1m39cm。

前述の平安時代の当初像頭部を転用したのがこの阿弥陀如来像です。他と違い定朝様のふっくらとした穏やかな顔つきをしています。

●菩薩部

菩薩部は立体曼陀羅の東側に配置されています。菩薩部の中央には金剛波羅密菩薩を配置、周囲に金剛薩埵,金剛宝,金剛法,金剛業の四菩薩が配置されています。

全て国宝で金剛波羅密菩薩以外は当初像となっています。

★金剛波羅密(はらみつ)菩薩

菩薩部の中尊。1m97cmで木造漆箔。中尊だけあって周囲の四菩薩よりも大きく作られています。江戸時代の再興像であり金箔が良く残っています。

東寺・金剛波羅密菩薩

★金剛薩埵(さった)菩薩

波羅密の北東に配置。95cm。

金剛波羅密菩薩以外の四菩薩はヒノキ一木造。表面漆箔ですが、金箔がかなり剥がれており黒っぽい印象です。菩薩像に限らないのですが、当初像には髪などの表面に乾漆造の技法が使われています。

東寺・金剛薩埵菩薩

★金剛宝菩薩

波羅密の南東に配置。93cm。

東寺・金剛宝菩薩

★金剛法菩薩

波羅密の南西に配置。93cm。

東寺・金剛法菩薩

★金剛業菩薩

波羅密の北西に配置。95cm。

東寺・金剛業菩薩

●明王部

明王部は立体曼陀羅の西の端に位置しています。明王はインド神話の神々が仏教に入ってきて仏となったもので、如来や菩薩に比べそれぞれが個性的な造形をしています。立体曼陀羅の五大明王はいづれも憤怒の表情をうかべており、不動明王を中心に降三世,軍荼利,大威徳,金剛夜叉が周囲を固めている。

明王を本格的に日本へ伝えたのは弘法大師がはじめてで、もっとも密教色の強い仏像群といえます。

五体全てが当初像で木造彩色仕上げとなっています。全て国宝指定。

★不動明王

東寺・不動明王

1m73cm。 明王部の中尊で日本最古の不動明王像。

右手に三鈷剣を持ち左手に羂索、両目を見開き上の歯牙で下くちびるを噛む表情という初期型の不動明王の典型的な姿をしています。

★降三世(ごうざんぜ)明王

東寺・降三世明王

1m77cm。元シヴァ神である大自在天とその妻である鳥摩妃を踏みしめている造形をしています。

★軍荼利(ぐんだり)明王

東寺・軍荼利明王

1m85cm。不動明王の西南に配置。岩礁の上に咲く蓮華の上に乗っています。

★大威徳(だいいとく)明王

東寺・大威徳明王

不動明王の西北に配置。1m3cm。

3つの顔を持ちそれぞれが三眼。さらに六本の脚を持っている異様な姿をしています。水牛に乗っており、全てを一木から彫り出しています。

★金剛夜叉明王

東寺・金剛夜叉明王

不動明王の北東に配置。1m74cm。

三つの顔を持つが正面のみ5つの眼を持った異様な姿です。蓮華を踏むことなど軍荼利に似ていますが、こちらはより動きをある像となっています。

●天部(四天王)

古代インド神話に起源をもつ仏達ですが、日本では古く飛鳥時代より東西南北を守る仏として祀られてきました。東寺の立体曼陀羅においても四隅に配置され四方を守護しています。

全て当初像で国宝指定。

★持国天

東寺・持国天

立体曼陀羅の東南に配置。1m84cm。四天王像で最も動きがあり平安時代初期神像の代表格です。

★増長天

東寺・増長天

立体曼陀羅の西南に配置。1m87cm。同じ南方配置の持国天と比べて動きは少ないが静かな中にも迫力があります。

★広目天

東寺・広目天

立体曼陀羅の北西に配置。1m73cm。多聞天とともに兜をかぶっており北側配置の四天王像の特徴になっています。

★多聞天

東寺・多聞天

立体曼陀羅の北東に配置。1m64cm。補修が多い像で体部分は分厚い彩色で大きく補修されています。顔も補修されていましたが、取り除かれ現在は当初の表情となっています。

他の四天王が二邪鬼の上に立つのに対し、多聞天だけは二邪鬼を従えた地天女の上に立ちます。補修でこうなった可能性もありますが、当初からである可能性もあるようです。

●天部(梵天・帝釈天)

四天王や他の天部同様にインド古代神話に起源がある仏です。飛鳥時代より造形がありますが、密教が入ってきてからの梵天像は複数の腕を持つものが登場、帝釈天も三眼のものが登場しています。

2体とも当初像で国宝ですが、帝釈天は補修部分が多くなっています。

★梵天(ぼんてん)

東寺・梵天

立体曼陀羅東端に配置。1m1cm。木造彩色。

四面の顔を持ち四本の腕を持つ密教色の強い梵天です。当初像ですが、前面以外の顔,腕先,台座は後からの再興となっています。

★帝釈天

東寺・帝釈天

立体曼陀羅の西端に配置。1m5cm。木造彩色。甲冑の上から菩薩のような衣をまとう姿をしています。

創建当初は東側に配置されていたが入れ替わっています。補修が多く、頭部,右腕,象の台座が後からの再興です。

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