東大寺・法華堂(三月堂) 東大寺最古の伽藍

東大寺には大仏殿以外にこそみどころがある。前回の戒壇院でもそういっていましたが、今回の法華堂もおすすめしたいお堂です。

以前は私も東大寺へ行った際には、法華堂はスルーしていたのですが、大仏殿の中にある仏像が決して奈良時代を代表するとは言い難いことに関して、東大寺なのに他にないのかと思うようになりました。

そんな中で関心をもったひとつが今回の法華堂です。法華堂とは毎年3月に法華会が行われたことからそのような名前が付きました。ただし、現在は法華会はこのお堂では行われていません。別名を三月堂ともいいます。

実はこの伽藍は、東大寺の前身である金鐘寺(きんしょう)の羂索堂でした。それが、国分寺指定で金光明寺となり、後に東大寺に組み込まれていきました。

東大寺の寺誌である、東大寺要録に733年創建とあり、実際に調査で729年~731年伐採のヒノキが使用されていることがわかっていることから、東大寺最古の建物となっています。

場所なんですが、大仏殿中門前から東側へ向かって進み、大きな石鳥居をくぐって坂道を登ります。そのまま、手向八幡宮の境内へ入り、北へ向かうと法華堂があります。

ちなみにこの手向八幡宮は東大寺の鎮守社になっています。

この東大寺東方丘陵地の一角は「上院」と呼ばれ、他に二月堂や開山堂など多数の伽藍が存在しています。

●法華堂(三月堂)

東大寺・法華堂

法華堂は上記のとおり、もともとは金鐘寺の羂索堂です。

東大寺最古の建築物であるのですが、奈良時代の建築なのは仏像群が祀られている正堂部分で、入り口や受付がある礼堂(らいどう)は鎌倉時代の建築です。

法華堂は外見上はひとつの建物に見えるのですが、内部は上記のとおり別れており、間にはつなぎの部分があります。

内部には本尊である不空羂索観音立像を中心とし、帝釈天や梵天,四天王像,金剛力士像など合計10体の仏像が立ち並ぶ立体曼陀羅さながらの仏の世界が展開しています。

拝観料は500円。堂内には畳を敷いた台が設置されており、そこに腰をかけて仏像を眺めることができます。やはり仏像はじっくりみたいのでこのように座れるようになっているのはいいですね。

堂内では照明にLEDライトが使われており、以前よりは明るくなったそうですが、まだまだ暗く感じます。

★不空羂索観音立像

不空羂索観音立像

奈良時代の脱活乾漆造。国宝。

法華堂の本尊です。法華堂のものと名前が羂索堂であることから、奈良時代から法華堂にあった仏像であるといわれています。3m62cmの巨像。光線を多様し全身に金箔を施しており、光り輝くイメージが表現されています。

中央にある八角形二段の壇上に位置しており、腕は8本、それぞれに羂索や蓮華,錫杖など持物を持っており、そのうち2本の腕は水晶を挟み合掌しています。頭部には銀製の宝冠をかぶっており、世界三大宝冠のひとつに数えられています。世界三大宝冠は他にクレオパトラ像の宝冠があるそうです。

不空羂索観音立像は奈良時代を代表する仏像のひとつであり、製造法である乾漆造は奈良時代を代表する仏像製造法です。

ちなみに法華堂内の仏像は塑像である執金剛像を除き全て脱乾漆造で造られています。

製造経緯については直接の資料が無く不明ですが、造像時期については正倉院に残る747年の文書に不空羂索観音の光背と台座発注の文があることから、この時期にはまだ製造中であったようです。造像目的は時期的に大仏開眼の直前であり、建立成功祈願ではないかと言われています。

名前に使われている羂索ですが、鳥獣をつかまえる縄状の罠のことで、衆生救済の象徴とされています。形状は以下の写真のようなもの。

羂索

不空羂索観音の起源はインド・バラモン教の破壊と創造の神シヴァだとされています。

★梵天・帝釈天像

東大寺・法華堂・帝釈天

奈良時代の脱活乾漆造。国宝。

本尊の左右に位置しています。写真は帝釈天像。

帝釈天像,梵天ともに約4mの巨像です。通常は帝釈天と梵天を一対で置く場合、帝釈天が鎧を着け、梵天が衣服のままなのですが、法華堂では逆になっているのが特徴です。

★四天王像

東大寺法華堂・四天王

奈良時代の脱活乾漆造。国宝。

4体とも3m程度の仏像です。 群像の一番外側4隅に位置し、仏の世界を守護します。

鎧などに彩色が残っています。

★金剛力士像

東大寺法華堂・金剛力士像

奈良時代の脱活乾漆造。国宝。写真は阿形。

本尊の正面に位置。東大寺南大門など山門に安置されている金剛力士像は上半身裸であるが、 法華堂の金剛力士像は鎧を着て武器を持つ造形です。

向かって左が開口している阿形(あぎょう)、右が閉口の吽形(うんぎょう)であり、これは通常の金剛力士像の配置とは逆となっています。

大きさは阿形が3m6cm、吽形が3m26cm。

★執金剛神像

東大寺法華堂・執金剛神像

170.4cm。奈良時代の塑像仏であり、これだけ造像方法が他と異なります。

本尊の後方に位置していますが、厨子に納められており普段は秘仏。毎年12月16日のみ開帳されます。

金剛力士像と起源は同じですが、こちらは1体のみで表現されています。金剛力士と同様に唐風の鎧を着ていますが、長期間秘仏であったため、鎧の彩色は良く残っています。

造像時期は東大寺要録には天平5年に本尊の後に開山の良弁僧正の本尊として造像したことを表す表現があるがこれは創建時の記録では無く、あいまいです。ただ、平安時代にはすでに法華堂の現在位置にあったことをしめす記録があります。

 ●元法華堂安置の仏像群

2011年法華堂改修工事の際に東大寺ミュージアムに移され、工事終了後もそのままミュージアムに残された仏像群です。合計6体あります。

有名な塑像・月光菩薩は法華堂には現在無く、東大寺ミュージアムにあります。

■塑像・日光菩薩・月光菩薩像
■塑像・吉祥天・弁財天立像
■木造・地蔵菩薩坐像
■木造・不動明王二童子像

●もともとの法華堂の仏像はどれ?

法華堂には現在の10体の仏像の他、東大寺ミュージアムにある6体と合わせて合計16体もの仏像が改修前には安置されていました。

尊像の構成も雑多で他に例を見ないことと、材質が塑像と乾漆造,木造があることなどバラバラであり、もともとの法華堂の安置仏はどれなのかということが言われてきました。

本尊である乾漆造・不空羂索観音立像と記録から早期から法華堂にあったことがわかっている塑像・執金剛神像はもとから法華堂のものと考えていいのですが、他のはどうなのでしょうか?

1996年の本尊が立つ八角形二重壇の調査で、下段に6か所の八角形台座跡が見つかっており、これは、東大寺ミュージアムの塑像・日光菩薩・月光菩薩と現在は戒壇院にある塑像・四天王があったと今では考えられています。

●御朱印

御朱印は法華堂入り口受付にてもらえます。

「法華」と「不空羂索観音」の2種類から選択でき、預かり制です。

本尊は不空羂索観音なのでそちらを選ぶのが妥当なように感じますが、私は参拝当初は本尊の名前を知らず「法華」をもらいました。

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