唐招提寺のみどころ 乾漆造仏像がみたいならここ

唐招提寺は奈良市西ノ京にある奈良時代の寺院です。宗派は律宗。

創建は759年、受戒を行うため唐より来日していた鑑真和上により、戒律の専修道場として開かれました。戒律とは仏教信者が守らなければならない道徳や規範のことをさします。

唐招提寺は他の南都の大寺とは違い、天皇に建てられた官寺では無く、鑑真の私寺でありましたが、朝廷の保護を受けていたようです。

鑑真が開いた時の唐招提寺は僧坊と講堂しかなく、仏法を学ぶだけのお寺でした。

本格的に伽藍が建ち始めたのは鑑真の後継者である安如宝(あんにょほう)の時からです。この人物はこの時代の「安」という名前の特徴から、唐の出身では無く、西域出身のソグド人であるという説があります。

西域はアレクサンドロス大王の遠征によりギリシャ文化の影響を強く受けた場所であり、実際に彼の建立した金堂にはギリシャのパルテノン神殿と同じ8本の柱とエンタシス技法が採用されています。

唐招提寺は奈良のお寺らしく、悪く言うと色彩が乏しく派手さのないお寺なのですが、これは境内のお堂の多くが奈良時代~鎌倉時代の建物がそのまま保存されているためです。

朱の塗装などは行わず、落ち着いたたたずまいを見せており、境内全体も平地のお寺のわりには緑が豊富な場所なんです。

●金堂

唐招提寺・金堂

山門を入ってすぐに正面に見えるのが金堂です。

この金堂は安如宝の代になってから建てられた伽藍で、建立は使われているヒノキ材から781年以降だとされています。現存する唯一の奈良時代の金堂となっています。国宝。

唐招提寺・エンタシス

正面の八本のエンタシス列柱の吹き放ちはギリシャ神殿様式に類似しており、奈良がシルクロードの終着点であったことを感じることができます。

吹き放ちであるため、金堂に入ってすぐのところに巨大な本尊・毘盧遮那(るしゃなぶつ)や薬師如来立像,十一面千手観音像が安置されています。

仏像の前には金網が張られており、金網越しでの拝観となるのが少し残念なところです。

★脱乾漆造・盧遮那仏坐像(るしゃなぶつ)

唐招提寺・盧舎那仏

盧遮那仏坐像は唐招提寺の本尊です。国宝。

この仏像だけなく、金堂内の他の巨像2体についても同様なのですが、乾漆造という技法で作られています。

乾漆造とは、唐から伝わった技法で、奈良時代の仏像に盛んに用いられた技法です。麻布を貼り重ねた原型の上に漆を塗り細部を形作っていくのですが、木造よりもお金や手間がかかるため、平安時代には衰退していきました。

乾漆造には「脱乾漆造」と簡略版の「木芯乾漆造」があります。

唐招提寺・金堂の3体の巨像は奈良時代の乾漆造りを代表する貴重な文化財です。

★木芯乾漆造・薬師如来立像

唐招提寺・薬師如来

国宝。盧遮那仏坐像の左手側に位置しています。

★木芯乾漆造・十一面千手観音立像

唐招提寺・十一面千手観音

国宝。盧遮那仏坐像の右手側に位置しています。

●講堂

唐招提寺・講堂

講堂は唐招提寺の創建時に平城京東朝集殿を移築し、寺院用に改造したものです。現在の建物も創建時より残っているものであり、現存する唯一の平城京遺構として、大変貴重なものです。国宝指定。

ちなみに平城京そのものでは残っている遺構はありません。

平城京からの移築であるため、金堂や他の伽藍とは意匠が異なります。また、講堂は仏法を説く場であり、講義台も残されています。

本尊は弥勒如来坐像。

★木造・弥勒如来坐像

唐招提寺・弥勒如来

弥勒如来は講堂の本尊で弥勒菩薩が悟りを開き仏陀となった姿です。鎌倉時代の作品。

●東室・礼堂

唐招提寺・礼堂

1284年建立。南北に長い建物で、従来は僧坊でした。かつては講堂を中心に西と北にもそれぞれ同様の建物があったようですが、東室・礼堂のみ現存しています。

南半分の礼堂は毎年10月21日~23日に行われる、釈迦念仏会の会場となっており、この時のみ内部が公開されます。

清涼寺式釈迦如来立像が安置されています。

●宝蔵・経蔵

唐招提寺・宝蔵

正倉院と同様に奈良時代の校倉様式遺構。北側の大きいほうが宝蔵で小さい方が経蔵です。両方とも奈良時代の建立。

経蔵は唐招提寺創建の前からこの地にあった、新田部親王邸の米倉を改造したものだと言われており、日本最古の校倉となります。

●御影堂

唐招提寺・御影堂

国宝・乾漆造・鑑真和上坐像が安置されているお堂です。

もともとは興福寺別当寺院「一条院」の遺構であったが、1963年に移築され鑑真和上の御影堂となりました。

移築前は地方裁判所として使用され、もとは1649年に建てられた物です。

普段は非公開ですが、毎年6月6日前後3日間のみ公開されます。

この日も非公開であり、入り口外側から撮影いたしました。

●開山堂

唐招提寺・開山堂

江戸時代に徳川家歴代の御霊殿として建立されましたが、1881年に鑑真和上像を安置するため現在の位置へ移築されました。

鑑真和上像が御影堂へ移された後、聖武天皇像や徳川家康像が安置されていましたが、改修後、2013年に和上像を写した「身代わり像」が造られ安置されています。本物と同じ乾漆造で本格的なものです。

御影堂にある本物の鑑真和上像はごく限られたわずかな期間しか見ることはできませんが、こちらはガラス越しではありますが、通年公開されています。

★乾漆造・鑑真和上像(身代わり)

鑑真・身代わり像

年数日しか見ることのできない鑑真和上像にかわって、いつでも参拝できることを目的に制作されたレプリカです。レプリカといっても奈良時代の脱乾漆造を忠実に再現して作られており、盧舎那仏解体修理時に得た知識も生かされているとのことです。

開山堂ではガラス越しに置かれています。

●戒壇

唐招提寺・戒壇

戒壇とは出家者が正式な僧となるために受戒の儀式を行う場所です。鑑真はもともとは受戒を行うために来日した僧であり、唐招提寺は戒律を教えるための寺院であったため戒壇があったのは重要な意味があると思われます。

建物は江戸時代に焼失。再建されておらず、現在は石段のみ残っています。宝塔部分は1978年に置かれた新しいものです。

●御朱印

唐招提寺・御朱印

御朱印は境内売店で頂くことができます。御朱印帳を預けて先に参拝することも可能です。

本尊・毘盧遮那仏のものと、鑑真和上のものの2パターンが選択できます。御朱印の王道である御本尊か有名な鑑真か迷うところですね。

●アクセス

最寄駅は近鉄「西ノ京駅」、車で来た場合、南大門前に150台分の駐車場があります。

料金は500円かかりますので、もし薬師寺も参拝する予定があるのならやや距離はありますが、どちらかの駐車場に停めて両方参拝するかたちをおすすめします。距離があるといっても歩けない距離では無いですよ。

スポンサーリンク
スポンサー