奈良・薬師寺 竜宮城のような白鳳伽藍と美しい白鳳仏

薬師寺は奈良市の西の京にある奈良時代のお寺で、まるで平城京をしのばせるような鮮やかな境内が広がります。

奈良時代のお寺ではあるんですが、由緒は飛鳥時代にさかのぼり、もとは天武天皇が妃の鵜野讃良(うののさらら)皇后(後の持統天皇)の病気回復を祈願して建立を指示したのがはじまりです。

ただし、天武天皇存命中には完成せず、持統天皇や文武天皇の代で完成することとなりました。これが、現在の橿原市城殿町に遺構が残る本薬師寺です。

平城京遷都の後、718年に現在の場所に移転し、南都7大寺のひとつに数えられています。

そんな薬師寺も2度の火災で東塔を除き当時の建物は焼失しています。

20世紀半ばまで江戸時代建立の仮金堂と仮講堂だけであったが、管長「高田好胤」が中心になり、1976年金堂を再建、以後も西塔など各伽藍を再建しプロジェクトは今なお進行中。

現在は食堂を再建中です。2017年5月に完成予定で、完成すれば50年続いた白鳳伽藍再建計画は完了となります。

現在では焼失したお堂を再建しようとはしないお寺が多いですが、薬師寺は伽藍復興に非常に意欲的です。阿部政権になって奈良にも外国人観光客が増えました、今後も増え続けると思われるので、ぜひ薬師寺には東大寺とともに奈良の観光の中心になっていってもらいたいですね。

薬師寺は広大な境内を持ち、一般道をまたいで境内が広がります。一般道の南を「白鳳伽藍」北に「玄奘三蔵院伽藍」があります。

玄奘三蔵院伽藍は特別拝観時のみしか開いていないため、この日は入ることができませんでしたので、今回は白鳳伽藍のみの紹介とさせていただきます。

●白鳳伽藍

薬師寺・白鳳伽藍

境内を分断する一般道を挟んで南側エリアを差し、1967年から再建が進められている地区です。主な伽藍に金堂,東塔,西塔,講堂,東院堂などがあります。

薬師寺の主要伽藍は古代寺院らしく回廊で囲まれており、法隆寺などはその中が有料エリアだったりするのですが、白鳳伽藍はそれとは無関係に有料エリアに決められています。拝観料は大人500円。

出入り口は南北に2か所あり、駐車場から来た場合だと南門から、西ノ京駅から来た場合だと北門から入ってくることになります。

★金堂

薬師寺・金堂

瓦葺の建物で、各層に裳階(もこし)が取り付けられ、優美さを際立たせる、龍宮造りと呼ばれる造りをしています。

1528年焼失、1976年再建した本堂にあたるお堂で、薬師三尊を本尊として祀っています。外からでも薬師三尊を拝観することができ、開放的なお堂です。

再建時には基本的に創建当初の外観で建てられたのですが、内陣のみ鉄筋コンクリート製となっています。

■銅造薬師三尊

薬師寺・薬師如来坐像 薬師寺・日光菩薩

金堂の本尊。中央に薬師如来坐像が鎮座し、脇仏として日光菩薩と月光菩薩が立ちます。

いづれも白鳳時代の仏像で、黒光りしているのは創建当初からではなく、火災により銅が変質したんものです。もとは塗金されていました。ちなみに光背は江戸時代のもの。

薬師如来坐像の台座にはシルクロードの終着点を感じさせる多国籍な彫刻が施されており、後日その記事をアップしたいと思います。

腰のひねり(3曲法)をとりいれた日光菩薩(写真2枚目)と月光菩薩は有名で、とても女性的な美を感じさせます。中央の薬師如来が男性的であるので、菩薩像は女性をイメージして作ったのではないでしょうか。

天衣から脚部の輪郭がくっきり出ているのも魅力的ですが、これはインドのグプタ朝の影響のようです。それから、ちょっとぽっちゃりですね。白鳳時代の美人というのはこんな感じだったのでしょうか?


日光菩薩は見れましたが、月光菩薩の方は今は白鳳展へ出張中、代わりに写真が飾ってありました。でも白鳳展で見たので大丈夫です。

薬師寺・月光菩薩身代わり

 ★東塔

薬師寺・東塔修理中

東塔は薬師寺に現存する唯一の創建当時の建物なのですが、いたみが激しく解体修理中です。

2018年修理完成予定。

★西塔

薬師寺・西塔

西塔は1528年に焼失し、1981年に創建当初の白鳳様式にて再建された三重塔です。

金堂と同じく各層に裳階がつけられ、三重塔なのですが、六重塔に見えます。

塔の相輪には24体の飛天が透かし彫りされています。

内部の初層には釈迦の成道,転法輪,涅槃,分舎利の4つの場面を表した銅造四相像が安置されています。

普段は入れず、特別拝観時のみ拝観することが可能です。大人500円。

★大講堂

薬師寺・大講堂

大講堂は横41m,奥行き20m,高さ17mの薬師寺最大の建物です。

講堂とは僧侶たちの学びの場です。古代寺院では金堂よりも講堂の方が大きいという特徴があります。奈良時代の仏教がまだ、 学びの段階であり、大勢の学僧に経典を教えるを必要があったからです。

大講堂の本尊は弥勒三尊像で白鳳時代の重要文化財です。

薬師寺の御朱印はこの建物内で頂くことができます。

■銅造弥勒三尊像

薬師寺・弥勒三尊像

銅造薬師三尊像と同じく、白鳳時代の銅造仏です。

中尊は弥勒如来となっているが、製造経緯は不明であり、本当の像名は不明となっています。

近世には西院弥勒堂の本尊となっており、弥勒如来であったが、その後、阿弥陀如来となったり、薬師如来となったりした経緯がある。

再建された大講堂の本尊となる際「弥勒如来」に名前を戻されています。

脇仏に向かって右「法苑林菩薩」、向かって左に「大妙相菩薩」を従えているが、これが本来の脇仏であったのかも不明なのです。

★東院堂

薬師寺・東院堂

東院堂は吉備内親王が元明天皇の冥福を祈って建立されたお堂です。

主要伽藍を囲う回廊の外側東にあります。

以前は別の場所にありましたが、973年焼失、1285年の再建時に現在の場所に建てられました。

東院禅堂と呼ばれ、土間である他の伽藍とは違い板間となっており、禅の影響がしのばれます。

ここの御本尊が有名な白鳳仏・聖観音菩薩像です。

■聖観音菩薩像

薬師寺・聖観音菩薩像(身代わり)

聖観音菩薩像は薬師寺でも薬師三尊に次いで有名な白鳳仏です。

二重の首飾りや透き通るような衣が特徴です。

これは初唐時代の中国を経由して入ってきたインドのグプタ王朝の影響がでていると言われています。

こちらの仏様も月光菩薩と同様、白鳳展へ出張中であり、レプリカが置かれていました。

★回廊

薬師寺・回廊

見逃せないのが薬師寺の回廊です。回廊も再建計画には入っており2015年現在、北西部を除いて完成しています。中門から講堂を結んで囲いを作り、内側に2つの塔と金堂を内包する「薬師寺型伽藍配置」を形成しています。

実はこの薬師寺回廊の柱はエンタシスが使われているのです。エンタシスは中央が太くなっている円柱なのですが、ギリシャの古代神殿で使われている様式です。

日本では法隆寺をはじめ、いくつかの古代寺院でこの柱を見かけます。

古代の奈良では結構使われていた技術だったのかもしれませんね。

●アクセス

最寄駅は「近鉄西ノ京駅」となります。北門からが近道となります。

車で来た場合は、南側の有料駐車場が便利です。1日500円となっています。

その場合、南門から入ることになります。

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