奈良の明日香には聖徳太子誕生の地とされる場所があります。
田園地帯をサイクリングしていると唐突にそれは現れるのですが、その近くに橘寺はあります。
当時ここには「橘の宮」という欽明天皇の別宮があり、聖徳太子はここで生まれたとされています。
606年に推古天皇に命じられ聖徳太子が橘の宮を改造して建立したのが「橘樹寺」で、これが今の橘寺の始まりです。
当時は聖徳太子建立7ケ大寺のひとつであり、66ものお堂が立ち並んでいました。
1506年に南朝の残党が挙兵(多武峰の兵)したため、橘寺は焼かれ以前の面影は無くなってしまいました。
現在のお堂は1884年に再建されたもので、飛鳥時代に比べはるかに小さなお寺となっています。
新西国三十三霊場第十番。
入場料は350円、駐車場は無料ですが、前の道は非常に狭いため車での通行は非常に不便です。
お堂は全て中に入り参拝できます。
●二面石
明日香は石造物が有名であるため、橘寺といえば、もしかしたらこれが一番有名なのかもしれません。
飛鳥時代の石造物と言われています。高さは約1m。
太子殿の左横にあり、人の心の善と悪を表したものとされています。
★善の顔(右側)
★悪の顔(左側)
●観音堂
如意輪観音坐像が祀られているお堂です。
お堂時代は新しいものですが、如意輪観音像は平安時代のものであり、重要文化財指定されています。
この仏像が今の橘寺では一番古いものとなります。橘寺の隠れた見所といえます。
昔は橘寺にも多くの古い仏像があったようなのですが、他寺へ譲渡したり、焼失したりしてありません。
1078年には法隆寺へ49体の仏像を譲渡したという記録があります。また、法隆寺の玉虫厨子はもともとは橘寺の寺宝でした。
●太子堂(本堂)
1864年に再建された本堂です。
重要文化財、聖徳太子坐像が祀られています。
一見わかりづらいのですが、内陣まで入り参拝することができます。
●五重塔跡
橘寺にかつて存在した五重塔跡(心礎)です。
山門を入ってすぐ左手にあります。
直径90cmの円形の穴、その三方に3か所の半円がくっついた形状をしています。
これは90cmの心柱に三本の添え柱があった形状であり、38mの五重塔が建っていたことになるようです。
橘寺ではこのような昔のお堂跡が何箇所かあります。
また、昔のお堂と現在のお堂は位置がずれており現在の橘寺とは本堂を含め伽藍配置が異なります。
旧お堂跡を見て違いを楽しむのもいいかもしれませんね。
●御朱印
橘寺の御朱印は本堂でいただけます。料金は300円。
私はご住職のような方に書いて頂きました。この時は御朱印帳を預けておき書かれている間に境内を参拝することを勧められました。
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