平等院は京都府宇治市にあるお寺で10円玉の絵柄になっている鳳凰堂を中心とした寺院です。平等院を知らなくても鳳凰堂の姿を知っているという人は多いのではないでしょうか?
歴史の教科書でも平安時代のところで必ず登場する有名寺院です。
藤原道長の別荘「宇治殿」を1052年に寺院としたもので、創建は道長の息子の藤原頼道。
宗派は創建当時は密教系でありましたが、17世紀以降は天台宗と浄土宗を兼ね、現在は独立した宗派となっています。
境内全体が有料エリアで、表門に料金所があります。拝観料は大人600円です。
※アクセスや拝観案内は公式ホームページを参照ください。
●鳳凰堂(阿弥陀堂)
国宝。1053年の藤原頼道による建立で平等院の本尊・阿弥陀如来坐像を納めたお堂です。内部壁面は今は退色していますが阿弥陀如来来迎の図が極彩色で彩られ、52体の雲中供養菩薩で飾られています。
まさに極楽浄土を表現した宮殿となっています。
正式名称は阿弥陀堂ですが、屋根にある鳳凰の飾りから鳳凰堂と呼ばれています。
平等院は南北朝時代に多くの建物が焼失しているのですが、鳳凰堂はは消失を免れ平安時代から残る唯一のお堂となっています。
鳳凰堂の形状は平安時代の貴族住居で使われていた「寝殿造」に似ていますが、両翼の廊下は天井が低すぎたり、本体とつながっていなかったりして人が通れる構造ではありません。飾りのようなものだとういうことです。
また、鳳凰堂は池の中島に建てられていることが大きな特徴です。この阿字池を中心とした鳳凰堂周囲の庭園は浄土式の借景庭園として史跡名勝に指定されています。
★鳳凰飾り
鳳凰堂屋根飾りの鳳凰。青銅に金箔が張られており、屋根の両サイドにあります。この鳳凰も鳳凰堂のみどころのひとつになっており、鳳凰堂の背後からのほうが接近してみることができます。
現在、鳳凰堂の屋根にあるのはオリジナルではなく、レプリカとなっています。創建時の本物は鳳翔館にあり、国宝となっています。
★鳳凰堂の内部拝観は?
内部拝観は別料金が必要で、300円です。平等院境内にて支払い入場券をもらいます。
20分毎に定員最大50名にてガイド付きで案内されます。
受付9:10~ 入場9:30~以後20分毎案内
参加時刻は入場券に書かれていますが、必ずしも直近の時間では無く、次次回の参加時間で案内されることがあります。
時間前に鳳凰堂へ渡る橋の前で集合となります。ちなみに上の写真はその集合の様子を撮影したものです。
内部ではガイドの後、少しだけ自由時間があります。ちなみに撮影は禁止です。
★阿弥陀如来坐像
鳳凰堂の中心に安置されているのが平等院の本尊・阿弥陀如来坐像です。
木造寄木造り。全長2m84cmで金箔が貼られています。
平安時代後期の名仏師「定朝」の作品ですが、実は確実に定朝のものということが証明できるものは少なく、この阿弥陀如来坐像が唯一となります。それだけに平等院へ行ったら見逃せない仏像となっています。
定朝の作品と呼ばれているものは他にもあり、また定朝様という定朝っぽい作品は多く残っています。
★雲中供養菩薩像
雲中供養菩薩像は鳳凰堂内上方の壁面に飾られている仏像です。
全部で52体あり、雲に乗り、様々な楽器を演奏していたり合掌していたり様々で、臨終の際、阿弥陀如来とともに来迎し、音楽を奏でながら極楽浄土に導く様子を表現しています。
菩薩型が多いですが僧侶の姿の物もあります。
半分の26体はレプリカであり、その26体の本物は鳳翔館で見ることができます。現在は木肌が露出してしまって地味な印象ですが、創建当初は極彩色をされており、華やかな仏像だったようです。
●平等院ミュージアム鳳翔館
鳳翔館は平等院の博物館であり、境内の地下に潜るように作られています。ここは平等院の拝観料だけで入場でき別途費用は必要ありません。
館内では5つの区画にわけられ、平等院が所有する多くの文化財が展示されています。特に見どころとなるものを紹介しますね。
素材や技法を創建当時そのまま使用した極彩色の雲中供養菩薩像,鳳凰堂内ではレプリカだった26体分の雲中供養菩薩像のオリジナル。
創建時から残る梵鐘。これは日本3大梵鐘のひとつであり、「姿の平等院」のオリジナルです。
境内では中に入れなかった観音堂,浄土院の仏像「千手観音菩薩,帝釈天」。これらは平安時代の貴重な仏像になります。帝釈天は作風から定朝の父「康尚」の作品ではないかとされています。
また、館内では平等院についてのビデオも上演されており、創建当時の鳳凰堂の様子がCGで再現された映像を見ることができます。
ちなみに館内は撮影禁止です。
★ミュージアムショップ
平等院内で唯一の土産物屋です。
お守りや絵葉書などの寺院の定番もありますが、平等院ならではのお土産もあります。特に人気があるのは雲中供養菩薩全52種の写真が入った「平等院トランプ」のようです。
他にもたくさんの商品があるのですが、中でも雲中供養菩薩の楽器をモチーフにした木製のストラップもなかなか面白い。ほかに、宇治ということで、源氏物語を題材にした土産物も見られました。
置物のようなのは少なく総じて実用的なものが多いように思えます。なかなか観光客がほしいものがわかってると感じるところですね。
●梵鐘(姿の平等院)
平等院の梵鐘です。日本3大梵鐘のひとつであり、天人や龍が装飾され、それらが調和した美しい姿から「姿の平等院」と呼ばれています。
これは創建時のオリジナルではありませんが、本物と瓜二つに作られています。前述のとおり、本物は鳳翔館に展示されています。
梵鐘がある鐘楼の場所なんですが、順路にはなくかなり見逃しやすい場所にあります。平等院の正面を過ぎたら鳳翔館側には進まず鐘楼の案内があるほうへ行かないといけません。
鐘楼から鳳翔館へ行きたかったらいったん戻ることになります。
●観音堂
鎌倉時代の建築で本尊は木造・十一面観音像。観音像は平安時代後期の作ですが、現在ではここになく、鳳翔館で保管されています。内部は非公開となっています。平等院の入口すぐにある建物ですが、脇道にあるので見逃しやすい建物でしょう。
ちなみに、創建時はここに本堂があったようです。
●集印所(朱印所)
平等院の御朱印がいただける場所です。平等院の正面を過ぎたあたりにあり、順路にそっていけばすぐわかる場所にあります。
値段は他と同様に300円。「阿弥陀如来」と「鳳凰堂」の2種から選択となります。阿弥陀如来は平等院の本尊ですし、鳳凰堂は全国的に有名な建物ですのでなかなか迷いますね。
私は鳳凰堂にしました。
●浄土院
平等院の中にありますが、平等院の頭塔(たっとう)ということで子院扱いのお寺です。ですが実際には同じ境内にある最勝院と合わせて共同共同経営者となっています。浄土宗系の寺院。
内部には入れず、外から見るだけとなっています。入口近くには救世船乗観音が安置されています。
15世紀後半に平等院修復のために創建された寺院です。浄土院の所有として、平安時代作成の帝釈天像で定朝の父親である康尚の作品でないかと言われています。
実はこの寺院には平等院とは別の御朱印があり、案内もありました。
●最勝院
こちらも浄土院と同じく平等院の境内にある頭塔ですが、共同経営者となっています。
1654年の創建で天台宗の寺院です。
●平等院のまわり方
鳳凰堂の入場が定時制であり、待ち時間が発生することが多々あります。
そのため、鳳凰堂の入場券を先に購入しておき、時間まで鳳翔館をはじめ、境内をまわってから鳳凰堂内部拝観するというのがおすすめです。
鳳翔館のミュージアムショップには、バラエティー豊かな土産物がそろっており、見ているだけでも結構楽しめます。
境内は順路があり、その通りに回ってくれば一通りまわって鳳凰堂に戻ってこれますが、鐘楼だけは順路と外れていますので見たい方は注意が必要です。
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